サウンドカードのバランス出力


バランス伝送というのは交流電気信号を送る際に、本来の信号とは別に、逆位相の信号も送る方式です。 本来の信号をホット、逆相信号のほうをコールドといいます。
受信する側で逆位相の信号をまた反転させて本来の信号にミックスすることで、伝送間に飛び込んできた外来ノイズを打ち消すことが出来ます。 また信号レベルが2倍になるのでS/N比が良くなるメリットもあります。
普通のコンシューマー機器で利用されるRCAケーブルやステレオミニ端子のついたケーブルはアンバランス用です。 バランス伝送ではXLR端子のついた2芯シールドケーブルやステレオ標準端子のついたTRSケーブルを利用し、一本でモノラル1chを伝送します。

ライブハウスなどでベースを接続するDI-BOXはアンバランスをバランスに変換する機械です。

少し前の話ですが、M-AudioのDelta66というサウンドカードを購入しました。
アナログバランス仕様のはずなのですが、逆相信号が出ません。実は購入前から気になっていたのです。 というのもこの製品はPCIカード+外付け接続ボックスという構成のもので、その間はアナログ伝送ですが、コネクタが15pinD-subなのです。 4in4outでバランスなら最低16芯シールドが必要なはずです。
分解してみると、入力はアンバランスで、出力はコールドが適当な抵抗を通してGNDに落ちています。 ホットと同じ出力インピーダンスの無音の状態を模しているのだと推察は出来るので、原理的にノイズキャンセルは可能でしょう。
しかし果たしてこれはバランス伝送と言えるのか。私の先輩に聞いたところこれは「擬似バランス」と言うのだそうです。
顧客の要望がバランスであればちゃんとしたバランスの製品でシステムアップしたいので、Delta66の採用は諦めました。

次にEcho AudioのMIAというカードを買ってみました。
購入前に代理店にコールドに信号が乗っているバランスかを確認したので安心していたのですが、これも出力が擬似バランスでした。
代理店の技術サポートに確認してみると「バランスとはそういうもの」だそうです。
入力はDelta66と違ってちゃんとバランス受けでしたので、録音用には採用出来ます。

次にRME Hammerfall DSP+Mutifaceというカードを買ってみました。
代理店に知り合いが居たので事前に聞いてみたら親切にマニュアルを送ってくれました。おかげで今度はかなり確信を持って購入できましたし、 実際にちゃんとしたバランス出力でした。音質もこの中では一番良いと思います。

ちゃんとした製品もあるのだから、やはり前二者の仕様表記が不誠実に思えてならないのですが…。

(追記)
擬似バランス=上記のインピーダンスバランスではないんですかね?
ケーブルの片方のシールドを浮かせるセミバランス結線のことも擬似バランスと呼ばれているみたいです。

現在Delta66はアンバラ仕様として売ってるみたいです。