エフェクタのインピーダンス


インピーダンスというのは「交流信号に対する電気抵抗」です。頭痛いですね。
よく電気の流れる量が電圧で強さが電流なんて言います。ここでは音量レベルが電圧、強さがインピーダンスと言ってしまいましょう。
インピーダンスは低いと強くて、高いと弱いです。弱いとノイズが乗りやすいし、ケーブルを通したときのヘタりも大きいです。 ヘタるというのは高音域が弱くなったりと音質に変化があることです。インピーダンスは低いほうがいいわけです。

オーディオ機器には入力インピーダンスと出力インピーダンスがあります。
入力インピーダンスはこれくらいの強さで入力してくれないとちゃんと鳴らんで俺。という指標です。
出力インピーダンスはこれくらいの強さまでなら出力できるで俺。という数値です。

昔は機器毎の入出力インピーダンスを統一してたようですが、現在は弱い信号も受けれて、強い信号を出せる設計が主流です。
普通のCDとかオーディオアンプとかは入力が10kΩとかで、出力が1kΩとかそれ以下ですね。

入力インピーダンスの10倍くらいの値の出力インピーダンスの機器をつなげばまあOKということになっているので、 入力インピーダンス10kΩの入力に出力が1kΩの機器をつなぐとちょうど合格点です。
出力が2kΩとかそれ以上の機器をつなぐとちゃんと鳴らないかも。
逆に出力が100Ωとか低いものをつなぐ分にはOKです。
「推奨負荷インピーダンス10kΩ」という表記もありますが、これは出力インピーダンス1kΩくらいと思っちゃっていいでしょう。

インピーダンスは低い分にはいいと言いましたが、そうとも言えない場合もあります。
エレキギターの出力信号はすごい高インピーダンスです。
弦の振動がピックアップの磁界に作用して発生するだけの微弱電流です。電池もなしに強い電気が出るわけがありません。
高インピーダンスといえば電気的にダメ扱いされるものですが、それ用の機械を作るとなればこれ以上シリアスなものはありません。 パーツはもちろんケーブルの種類や長さによって音は変わるし、すぐ発振するし。

そんな微弱電流を5mも10mもケーブルで引っ張りまわすことがそもそもの間違いなのですが、 それでもギターを接続するギターアンプは当然ギターを直接接続することも想定されています。入力インピーダンス1MΩ程で設計されていますね。
つまり直接接続した状態というのはヘタりにヘタった信号を入力した状態で、しかもそれが基本の音なのです。

直接接続しない場合というのはエフェクタをはさんだ場合です。
エフェクタの設計上、バイパス方式にはいろいろ言われています。エフェクトオフ時に電子スイッチにするか、機械スイッチにするかです。 電子スイッチを採用した場合、エフェクトオフ時でも出力が低インピーダンスになるのが普通です。 大手メーカー品は大抵電子スイッチです。スイッチ耐久性が高く切り替えノイズもありませんが、バイパス時でも音が痩せると言われています。
余分な回路を通すことによる音質変化もありますが、インピーダンスが下がってしまうせいで、うまくヘタってくれなくなるという要素も大きいと思います。 電気的に理想的な状態になると、困ったことに基本の音以上にクリーン過ぎる音が出てしまうわけです。 高域がカットされない分、相対的に中低音が下がるので、痩せて聴こえるのでしょうか。
機械スイッチにすればこれを避けられるのですが、別の問題もあります。エフェクタをはさめばシールドの合計距離は長くなりがちですし、接続接点も増えます。 ただでさえヘタった信号がもっとヘタるわけです。 機械スイッチのほうが絶対に良いと言う人は、その使用条件で比較して好ましい結果が得られただけです。
複数のエフェクタを直列に接続する場合や、もっと長いシールドを使う人もいるでしょう。 特に大手メーカー品はいろいろな使用環境下での音質やノイズ対策の保証をしなければいけないことからも、 電子スイッチを採用していることは理解しておきたいですね。